宝万頭本舗(たからまんじゅうほんぽ)
「ネコまんじゅう」で知られる「宝万頭本舗(たからまんじゅうほんぽ)」は、昭和30年10月、東京で創業し62年老舗の和菓子店。看板にある招き猫、ネコまんじゅうののぼりが目印です。
▲宝万頭本舗の外観
▲店頭のショーウインドーには猫のライトや伊達政宗の甲を展示
初代店主の崎野光明(さきのこうめい)さんは東京生まれですが、小学校入学前に戦災に遭い、中学のときに和菓子店を営む叔父を頼って家族で仙台へ移住しました。子どもの頃からお菓子作りを手伝っていた光明さんは、叔父さんの知人が営んでいた和菓子店を廃業することを知り、店舗工場を借り受け、19歳のときに和菓子店を開業しました。
▲宝まんぢゅう
創業当時からの看板商品「宝まんぢゅう」は、沖縄産の黒糖の風味と、北海道産小豆の味とコクが生きたやさしい味。当時は「赤いダイヤ」と言われるほど小豆は高価でしたが、低価格で販売。現在も1個97円とリーズナブルです。その手作りの美味しさは評判になり、買い求める人の行列ができました。昭和33年に法人化。仙台駅前の日の出ビル1階に新店を、その後デパートなど、市内十店舗ほど展開していました。現在は上杉の本店のみですが、地元の方、昔ながらのお客様を中心に変わらぬ支持を受けています。
主な商品は、まんじゅうをはじめ、三色だんご、羊羹、雁月、季節の生菓子など。宮城の地酒、特別純米酒の「生一本浦霞」とその酒粕を生地に含ませて蒸し上げた「酒まん」の販売も始めました。また、紅白饅頭や葬式饅頭、法要の春日饅頭や挽茶饅頭など、冠婚葬祭用の饅頭の注文も受けています。数年前からアレルギーに配慮して、卵や乳化剤を使わない製法に変えました。
震災をきっかけに招福ネコまんじゅうが誕生
ネコまんじゅうが生まれたのは、平成23年3月に起きた東日本大震災がきっかけでした。初代店主の公明さんは上杉の本店を二代目の敬光さんにまかせて、仙台市宮城野区荒浜にある障害者の授産施設で70名ほどのスタッフ、利用者と和菓子作りに励んでいました。
そして東日本大震災で授産施設が流され、支援職員の一人の大事な命が奪われました。落ち込んでいた光明さんや、被災された人たちに少しでも癒やしになればと、その年の11月に敬光さんが作ったのが肉球の形をしたネコまんじゅうです。それが従業員にも好評で平成23年に商品化して販売を開始。当初は話題にもなりませんでしたが、平成26年に猫をテーマにまちおこしをするプロジェクト「上杉ねこProject実行委員会」が立ち上がり、「ネコまんじゅう」がテレビやイベントなどで紹介され注目されるように。現在は、各地からの問合せや来店客が足を運び、売切れるほどの人気商品になりました。
ネコまんじゅうはネコの肉球をイメージしたものです。ヘラで指の形に切り込みを入れて、肉球をあしらうなど、3月11日を風化させないとの思いから「11」の工程を通じて一つひとつ丁寧に手包みで作られます。
ネコまんじゅうシリーズは、元祖の「ねこまんじゅう」に加えて、練った黒ごまあんを練り込んだ生地にこしあんの「黒ネコまん」はいずれも1個162円で、黒砂糖を練り込んだ宝まんぢゅうにねこの口元を焼印した「宝ニャン」は1個100円。「宝ニャン」の焼印は、ねこの口の周りのひげが生えているぷっくりとふくらんだ部分をイメージしています。
▲ネコまん(左)とネコまん詰合せ
ネコには招き猫で知られるように招福、身を守るといった意味合いがあります。幸福を少しでも多くの方にあやかってもらいたいという願いをこめたネコまんじゅうですが、お参りもできます。店内にある「ねこ神社(二宮)」には、受験祈願や健康祈願などで訪れ、願いがかなうとお礼参りに来てくれる人も多くいます。
震災で被災した授産施設は太白区に移転し復活しました。そこで作っている猫グッズも販売しています。青赤緑など5色に色を変える和紙で作った「癒やしのこもれびネコライト(600円)」、「招福メモ帖(70円)」といったネコ好きに人気があります。
創業以来変わらない、丁寧な手作りのやさしい和菓子。しかも幸福を願って生まれたネコまんじゅうシリーズは、ほっとしたいティータイムに、またネコ好さんの方へのお土産やおもてなしにも喜ばれています。
名称 | 宝万頭本舗(たからまんじゅうほんぽ) |
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交通 | 仙台市営地下鉄南北線「北四番丁」駅北一出口から徒歩約5分 | 所在地 | 宮城県仙台市青葉区上杉2-4-40 |
電話番号 | 022-222-6718 |
定休日 | 不定休 |
営業時間 | 9:00~18:30 |
駐車場 | 無 ※近隣に100円パーキングがあります。 |