フランスのわんにゃん事情

▼バックナンバー

第9回・・・「きょうちゃん、ありがとう」の巻

こんにちは、ムラヤマです。師走の月となりました。月初めからイラクで日本人外交官殺害の悲しい事件があり「平和」について改めて考えさせられる毎日ですが、世の中が平和になるためにはまずそれぞれの家庭で幸せをかみしめられること。小さな単位「家庭での平和」のつながりがやがて地球全体の「大きな平和」になるのではないでしょうか?時はクリスマスシーズン、自分なりの小さな安らぎを身近に探してみるのもいいかもしれません。
12月3日夜、第6回「ちょっとお散歩」の巻で紹介したきょうさくが天国に帰りました。翌4日は木曜日。私にとって木曜日は毎週恒例「近所のスーパー買出しデー」ですが、丁度ペットフードコーナーで猫のドライフード2kg袋を手に取った瞬間、見知らぬご婦人から「プチブッダ(=『小さなかわいいブッダ』)をご存知ですよね?」と声をかけられました。最初何のことだかピンと来なかったのですが、ご婦人が続けて「耳が小さくて、灰色の猫。いつも木陰でじーっと同じポーズ」と説明してくださるうちに「きょうさくだ!」とわかった。「・・・きょうさく・・・?」と私がぽつんとつぶやいたら「そうそうご主人といつもそう呼んでいたわね。昨晩亡くなったのよ。」と。それを聞いた途端、スーパーのど真ん中なのに私の目から涙がびょーびょー出て来てしまい、ご婦人も私につられて目がうるうるし始めてしまいました。・・・きょうちゃーん・・・。
11月30日からフランス地中海沿岸は豪雨に見舞われ、一変して晴天となった12月4日の時点で死者5人。私が住むプロヴァンス地方では豪雨+強風という4日間でした。私は雨の日に外出するのが生来苦手で窓から風雨吹きすさぶきょうさくのエリアをながめては「大丈夫かしら?」と気にかけていたのです。が、3日マダムやご婦人がきょうさくを見つけた時にはかなり様態が悪く、すぐに獣医に連れて行ったにもかかわらず「手遅れ」と判断、注射を打っての安楽死だったそうです。毎日朝夕欠かさずご自分のお気に入りの黒猫ちゃんやきょうさくにごはんを与えていたマダムのショックは深く、獣医の前でそれはそれは泣いたそうです。
散歩の途中、ある時は木陰ですずやかにある時はさんさんとお日様を浴びて目を半開きで同じポーズのきょうさくにもう会えないのです。小さくて健気に生きているきょうさくをほんのちょっと見るだけで私はほんわか幸せになれたのに。
私と夫がきょうさくを見つけて2年くらいになるでしょうか。私達は木陰でいつも同じポーズの彼に「瞑想」のイメージがわき座禅でお坊さんが持つ棒「警策」を彼に名づけ、スーパーで彼の死を知らせてくださったご婦人は彼に「プチブッダ(Petit Bouddha)」と名づけました。きょうさくの死でお互いが彼につけた名前がわかったわけですが、私はフランスから10,000km離れた日本の出身、ご婦人はフランス人なのにきょうさくのイメージが同じ「仏さま」だったというのには不思議なものを感じました。
きょうさく、小さな幸せをありがとう。またね。

住まいのこと、ちょこっとリポート
「日曜大工」の話
フランス人は日曜大工が大好き!です。郊外の商業地区には必ず大倉庫専門店があり、パラボラアンテナ、暖炉、給湯器、バスタブ、台所家具一式からペンキ、タイル、壁紙、鍵、コンセント、壁の中を走る電器機器やら配水管まで所狭しの格安で並んでおり、いつも材木やら金具がいっぱい入った重そうなカートを押す老若男女でごった返しています。私はカートの中を覗いては「これを組み合わせて物体にしちゃうんだ」と感動。フランス人の日曜大工好きには脱帽です。とはいえ、私はもともと工作好きということもあり、現在の住まいで床のプラスチックタイル貼り、壁紙貼り、天井や棚、家具のペンキ塗りなどを経験しました。
フランスで売っている壁紙はなぜかイギリス製が多い!色・柄はもちろん台所用、寝室用、風呂場用、子供部屋用と用途もさまざまで、日曜大工店のだだっ広い壁紙コーナーでは選ぶのに一苦労してしまいますが、粉状の水溶き糊とスポンジで簡単に貼れる手軽さも魅力のひとつです。
パリ市内でしたらリヴォリ通りパリ市役所すぐそばのデパート「BHV」を覗いてみたらいかがでしょう?日曜大工に強い庶民向けデパートです。「フランス人はこんなものまで買ってどうするのかしら?」なんてものに出会えるかも。

戻る
copyright(C) 2003 Bon Smile All Rights Reserved.
お問い合わせ