フランスのわんにゃん事情

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第3回・・・『避けては通れない話』の巻。
こんにちは,ムラヤマです。9月24日現在フランスの夜明けは7時40分,日没は19時45分。一日3分のペースで日が短くなっています。南仏の日中最高気温も25度程度になりました(パリは20度弱)。

夜明け前すでにフランス人の生活は始まっています。薄暗い中,中学・高校に向かうバスは子供でいっぱいです。
さてフランスは日本でもしばしば「犬猫天国」として紹介されます。散歩中にふと建物を見上げても窓から顔を出す数匹の犬猫と目を合わせることはちょくちょく。
フランスでは借家の場合「まれに」賃貸契約書に動物飼育禁止について書かれていますが,そうでなければ借家でも持家でも制限なく住人の意思で動物を飼うことができます。共同住宅であっても登録の必要もないし大きさや頭数の制限もありません。私が町を歩いて気づいたのは一軒家のほとんどに大小の複数の犬がいます。フランスは空巣や泥棒が多いので犬が「門番」の役目を果たしているのです。多頭飼いというのが泥棒事件の深刻さを表しているようにも思えます。

毎朝7時半頃は第一次「犬の散歩」ラッシュ。仕事前に足早に犬の散歩をする人々が行き交います。第2ラッシュは10時頃,定年をすでに迎え自宅で悠々自適の方々がゆったりと犬と一緒に散歩をしています。第3ラッシュは夕食前のひと時,忙しいママンのそばで居心地の悪い子供やパパが犬の散歩にでかけます。いずれも片手に細長いバゲットを携えている人が多いのもフランス。そして第4ラッシュは夜9時頃。食後の腹こなしも兼ねて夫婦がゆったりと,あるいは家族連れでのんびりと犬と一緒に散歩をする姿が見られます。幸せな光景です。

私が住む南仏はミストラルと呼ばれる北西から強く吹きつける風が名物です。風速100Km以上,一度吹き始めると3日続く,と言うのが通説。慣れない私は強風がやむまで家でぢぃっと動かずにいますが,窓から外を覗くと髪はオールバック,ジャンパーをバッタバッタとなびかせながら犬の散歩をする人々を見つけることができます。・・・雨が降ろうと風が吹こうと犬のお散歩は必須ですものね。犬は外での「勤め」がありますもん。

この「犬のお勤め」も日本でフランスが「犬天国」と言われる所以。フランスを紹介するガイド本には必ず「犬のう○×に注意しましょう」と書いてあります。これは本当。町を歩いていると至る所に落ちています。「大」だけでなく「小」もこちらの犬は道のド真ん中で堂々としゃがんでなさいます。路傍で片足をあげてそそそっとする犬は滅多にいません。そしてこれを片付けないのもフランス人です。毎朝の歩道掃除車の走行が人を甘えさせてしまっているのかもしれません。倫理や衛生観念がないと言ってしまえばそれまでですが,私の分析ではフランスは日本に比べかなり乾燥しており日差しもとても強い。犬の落し物も悪臭を放つ前に瞬時に乾燥し「ひからびた」状態になるのでハエもたかりません。こういう気候がフランス人の衛生観念を疎くしているのかな?と。

とは言っても観光大国フランス,犬の落し物の対策を数多く立てています。が,なかなか習慣になりません。しばらくは提案と進歩,改善の繰り返しなのでしょう。

住まいのこと、ちょこっとリポート
床から天井までの高さ
私の記憶が確かならばフランスの現代住居基準では床から天井まで最低2m30cm の高さでなければならないそうです。ちなみに私の住むアパルトマン(1975年 築)は床から天井まで2m50cm,寝室の窓は2m30cmの長さです。エクサンプロ ヴァンスで借りていたステュディオ(19世紀以前築)はロフトつきだったので天 井まで4m近くありました。

パリをはじめフランスの町々は中心部であればあるほど古い建物が多くなりま す。町を作る際に最初に教会を建設しそれを円心に町が広がっていくという仕組 です。私が住むMarignaneの教会も9世紀から16世紀まで増改築を繰り返しなが ら建ったものです。

19世紀以前の建築物を見上げると窓幅は同じでも上の階に行けば行くほど窓の長 さが短くなります。2階や3階で2m以上は軽くある縦長のフランス窓も屋根裏 の窓はほぼ正方形,天井も低くなります。その昔「屋根裏」は使用人が住む部屋 だったので,現在も内部リフォームした古い建築のアパルトマンはなぜか屋根裏 下までのエレベータ設置,屋根裏の階へは階段のみというものが多いです。


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